これ「くじらじゃく」って読みます。
昔は鯨のヒゲでできていたらしいから鯨尺。
一方、建築の世界では曲尺を使います。
これ「かねじゃく」と読みます。
尺貫法なんて言葉を耳にしたことがある人もいるでしょう。
鯨尺も曲尺もこれに相当し、人体寸法を基本にしたモジュールです。
今、六本木の森美術館でやっている「ル・コルビュジエ展」のひと、
近代巨匠建築家コルビュジエも人体寸法と黄金比を基本とした
モジュールであるモデュロールなんてものを使っていました。
話を戻して、1尺は肘から手首までの長さ、だとか腰幅の長さ、だとか
地域によって基準は違ってたんです。
そんなこんなで、鯨尺の1尺は約38cmで、曲尺の1尺は約30cmです。
鯨尺の方がひとまわり大きいわけです。
それでも最近は着物を纏う人が江戸の頃より当然大きいわけで
鯨尺1尺で基本寸法を決めていた反物の幅も、当然大きくなっているわけです。
ところが建築は変なことになっているんです。
「起きて半畳、寝て一畳」って聞いたことありますよね?
やってみたことあります?無理じゃないですか?
これには二つの理由があります。
まず、僕たちが昔の人より身体が大きくなっていること。
もひとつ、昔の畳より現代の畳の方が小さいこと。
今の畳は団地用に作られた若干小さめのものなんですよ。
これって衣服の世界と比べると逆行してるわけですよ。
だから建築の曲尺で畳何畳分とかいって部屋の大きさを決めているのは
もう身体にフィットする寸法じゃなくなってるわけです。
これからの住宅設計には心が安らぎ、居心地の良い空間をつくるための
現代人のためのモジュールが建築にも必要なんじゃないでしょうか。
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